なぜ父は野菜を炒めるのか。
我が家で「野菜炒め」と言えば父。
一家の大黒柱たる父の得意料理について、深く考えたことはない。
「そういえば、何でだっけ・・・?」
定年前は服飾関係で仕事をしていた父。
母と共働きで、私はいわゆる”鍵っ子”だった。
両親は職場から帰宅すると二人で自炊をする人たちであったので、
お腹を空かせた娘二人に早くご飯を用意するのに、
いちいち手の込んだ料理はしていられなかっただろう。
だから「野菜炒め」が定着したのかな、と今にして思う。
先ず肉から炒める父。
まだ赤っぽいところが見えるくらいで、一度皿に移すのが父流。
予め切っておいた野菜たち。
その時々で野菜の種類は違う。
鉄鍋で炒める。強火で一気に火を通すのがコツ。
塩加減は昔のままで、味も昔から変わらない。
母「お父さん、これ巻いて」
父「はいはい」
豚肉できゅうりとえのきを巻く父。
すぐ言い合いになるくせに、二人で料理するのをやめない。
面白い両親だなあ、とつねづね思う。
出来上がった肉巻き。
えのきの味がぎゅっと凝縮されて、きゅうりも柔らかくなって美味しい。
両親がいるのが当たり前で、
両親の料理を食べるのが当たり前。
そんな日々をうとましく思うこともあったが、
つくづく子供じみた精神だったなあと反省することしきり。
それでは、また明日。